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オーストラリアは日本と季節が逆。ということは、チャレンジする12月は“夏”である。パースに到着した瞬間、“夏”を肌で感じた。日差しがきつい。日本の夏と比べて湿度がないので体感的には気温ほど暑くはないのだが、やはり長時間外にいるとジリジリとした“夏”の暑さを感じてくる。また走行途中、水素交換やメンテナンスのため道路脇に車を止めて作業をしていると、なんと、アスファルトが溶けていたこともあった。これには WSC を経験した学生も、「こんなことがあるのか!?」と大陸内陸部のすごさに驚愕していた。 大陸の厳しさをよく知るオーストラリアのスタッフが、スタート前日のブリーフィングで暑さ対策(いわゆる熱中症対策)について話をした。必ず次のことを厳守して欲しい。「帽子をかぶる」、「日焼け止めを塗る」、そして「サングラスをかける」ことが必須であり、これらを守っていても熱中症対策は別で、「1日3回必ずトイレに行く」、「欲していなくても水分を補給する」ことを厳守しなければなかった。 全員が緊張する中、いざ、チャレンジが始まると拍子抜けした。それは、曇りが続いたからだ。しかし5日目、オーストラリアの本当の“夏”をついに経験することになった。外気温40度オーバーの強い日差しが照りつける中を、走行しなければならないのである。ソーラーカーのキャノピー内のドライバーは暑さとの戦いである。オーストラリアの“夏”は予想を遙かに超えるものであり、ドライバーは50度を超える暑さを体験することになった。今までの WSCやWSRとは比べものにならない。心配し、どんな様子かとドライバーに聞くと、「暑いけど、運転している時は楽しいですから忘れてしまいます」と、意外にあっさりとした返事が返ってきた。そういえば、小原監督も「ドライバーを交代(強制的に)させるのは、こちらから指示しないといつまでも乗っているからね、学生は」と話していたのを思い出した。 暑さ対策は“人”だけではない。ソーラーカーにも対策は必要である。精密機器を満載しているソーラーカーは人と同じく繊細である。やはりアポロンディーヌ号もただではすまなかった。異常な暑さのためモーターに不具合が生じたり、水素感知器が誤作動するなどの障害がでた。モーターの障害には人と同じ対処法をとった。それは「保冷剤」で冷やすことだ。この適切な看病(?)によりモーターは回復(復活)し、その後の走行に問題は生じなかった。 この時、監督を始めメンバーが、「自分たちの想像だけで物事を考えてはいけないとは思っていたが、今回のチャレンジはそれ以上に過酷だった」と口をそろえて話していた。
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